研究概要 |
本研究では,特に多様な異種情報資源を横断的に扱うシステムにおいて,利用者の視点をシステム設計に反映させることにより,利用者に最適な情報アクセス手法を提供することを目的とする.今年度は,昨年度に引き続き,博物館・史料館・図書館などの保持する文化情報資源の横断検索システムに対する利用者の情報探索行動の分析,および,機関リポジトリの横断検索システムに対しての情報探索行動調査と分析を実施した.さらに,これらの分析結果を利用し,機関リポジトリ横断検索システムの設計を行なった. 文化情報資源の横断検索システムに対する利用者の情報探索行動の分析では,利用者毎・検索要求毎の検索プロセスの類型化から「ターゲットの確認」,「試行錯誤」,「裏付け」といった各要素で多く利用される検索手法について分析した.残念ながら,これらの結果は,利用者毎の違いと検索課題毎の違いが大きく,傾向を捉えることはできなかった. 一方,機関リポジトリの横断検索システムに対する発話思考法調査の分析結果からは,他のユーザの検索プロセスを有効に利用して適切な情報へたどり着くことがみられた.ただし,他のユーザが誰かということが重要な要素であることも明らかとなり,他のユーザをまとめてしまうことの問題点が明らかとなった.また,これらのプロセスを分析することによって,検索結果の色分け,検索画面の遷移,関蓮検索条件の定義などについての知見を得た.これを元に,システムを実装し,機関リポジトリ横断検索サービスとして公開した.
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