研究概要 |
本研究の目的は,経営学の組織論と人的資源管理の理論を活用しながら,日米の公共図書館における専門的職務と非専門的職務の区分について分析・考察し,日本の公共図書館における新しい職員制度のあり方(職務分担のあり方)を解明し,図書館職員の人材モデルを提示することである。本年度の研究では,2000年代の米国の公共図書館における専門的職務と非専門的職務の区分状況の詳細を把握するために,米国の公共図書館の訪問調査を行なった。訪問調査では,サンタモニカ公共図書館のGreg Mullen図書館長,ロサンゼルス公共図書館リトル東京分館のHitoshi Ohta館長,および,ロサンゼルス公共図書館のAlonzo Clark,Jr.人事部長にお会いし,図書館の人的資源管理と図書館サービスについてお話を伺い,関連資料を収集した。サンタモニカは,カリフォルニア州南部の人口約10万人の小都市で,サンタモニカ公共図書館は,中央図書館1館と分館3館で構成されている。サンタモニカ公共図書館の訪問調査を通じて,約50年分の基礎データ(組織図と統計資料)を入手することができた。サンタモニカ公共図書館は,市の面積,分館網の整備状況,職員組織の規模,等の点で,日本の公共図書館の専門的職務と非専門的職務の区分を考える際に,格好の事例である6次年度は,サンタモニカの調査で入手した基礎データを用いて,旧館と新館のサービス内容,職員構成,職員の職務内容,等を詳細に分析する。さらに,日米の公共図書館の職務区分の理由・要因を解明するために,経営学の組織論と人的資源管理の理論枠組みを用いて,分析・考察する。
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