研究概要 |
1.平成21年度の主たる研究調査活動 (1)文庫,子どもの読書関係団体主宰者への面接調査(2009.6~8:横浜市汐見台文庫など),文献調査(2)戦後児童書出版の状況および国立国会図書館所蔵児童書データの調査,(3)カナダ,アメリカの児童図書館,ライブラリースクールへの訪問調査(2009.8:トロント公共図書館,ピッツバーグ公共図書館,ピッツバーグ大学・ライブラリースクール,ニューヨーク公共図書館,ブルックリン公共図書館),(4)戦後の公共図書館における児童サービスの意義と役割に関する史的研究。 2.平成20年度研究調査の意義と位置づけ (1)の研究調査では,戦後の児童サービスに大きな影響を与えた民間の動き,特に文庫に注目し,その活動内容,児童サービスとの関係について検証を行った(成果の一部を三田図書館・情報学会で発表,文庫・児童図書館の発展に貢献した石井桃子の業績をまとめ,刊行)。(2)の研究調査では,児童書の出版状況の変化を主として国立国会図書館の所蔵データの分析から明らかにし,併せて国会図書館の担うべき役割を検証した(成果の一部を日本図書館情報学会で発表)。(1)(2)は,児童サービスを総合的に捉えるための重要な要素である。(3)の訪問調査では,訪問先図書館における児童サービスの取り組み,読書推進の動き,児童書コレクションの構築,ライブラリースクールでの児童図書館養成の実態などについて情報を広く収集し,日本における児童サービスの枠組みの検証に資する情報を得た。(4)の研究では,児童サービスの動きを1963年から1970年を中心に検証し,日本の公立図書館の発展期における児童サービスの位置づけ,役割を明らかにした。これも戦後の児童サービスの動きの解明,今後の方向性の検証と提示に資する重要な要素である(論文として成果を発表)。
|