研究課題
平成19年度、本調査研究は次のような活動を行い、成果を得た。1)先行研究、関連研究のレビュー2000年前後から、社会学、文化人類学、政治科学などの分野で生成発展し、本調査研究主題に関連する研究(Virtual Ethnographyなど)についてレビューすると同時に、イギリス、オランダ、フィンランドで、主要な研究者たちと意見交換を行った。オランダでは、研究会でゲストスピーカーとして講演する機会も得た。その結果の一部を、『文化人類学事典』(日本文化人類学会編、丸善、2009年1月刊行)所載項目、「サイバースペース」、「ヴァーチュアル・エスノグラフィー」の2項目として執筆した。2)方法論の検討パイロットプロジェクトを立案、実施することを通して、サイバー・エスノグラフィー方法論の具体的検討を行った。大学生および高齢者を対象にしたパイロットプロジェクトから、サイバー・エスノグラフィーの構成要件、調査項目、手順、手法を検討、改善を行い、本格的に実施できる段階へと発展させることができた。その実施と平行し、遂行上の留意点、倫理的配慮について、日本社会情報学会において、研究者倫理研究会設置の一端を担い、現在、具体的な検討を行っている。3)分析の枠組文化人類学で1960年代から70年代展開された社会的ネットワーク論における、人間関係ネットワークときめ細かい意味世界についての議論を、サイバースペース、リアルスペースでのコミュニケーションチャネルのあり方と接合することが、サイバー・エスノグラフィーにとって大きな分析枠組みになりうることが明らかとなってきた。調査実施、データ分析の理論的枠組み構築の基礎を固めることができたと考えている。
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Journal of Socio-Informatics Vol.1, No.1
ページ: 57-70
ページ: 137-146