研究概要 |
1.研究目的と計画の概要 (1)エコミュージアムの定義のうち「現地で保存,育成する」という前年度の「地域を史的に探究」する実証研究から発展させ,歴史・文化遺産保護のモデルケースを示す. (2)エコミュージアムの定義のうち「発見の小径」における観光情報システムを開発して,一人ひとりが文脈として観光できるスタイルを確立する. 2.研究成果の概要 (1)に関しては,彦根城下町の第四城郭に残存する足軽組屋敷の一つである「足軽辻番所」の再生,保存プランを実践した.地域住民が主体となる足軽辻番所サロン『芹橋生活』を開設し,歴史・文化・生活をテーマにサロンを開催して保存と活用について討論した.全7回のサロンにより歴史・文化遺産としての価値と地域生活への誇りを共有して有効利用の方策を立案した.その実現のために家屋の買い取り,再生,保存のための募金活動へと発展させ,約700万円の賛助金を集め,市へ寄付し行政による保存事業を実現した. (2)に関しては,(1)太陽電池駆動屋外型情報取得装置(ユビキタス道標)の再設計を行い,夕暮れ時の1,000ルクス程度(晴天昼間時は10万ルクス以上)でも充電可能な発電装置を開発した.また景観と道標としての機能に配慮したプログラム制御式ユビキタス道標を完成した.ワンセグやiPhoneにみられる電話端末の著しい利用形態の変化と発達を考慮すると,数年後には動画などのリッチコンテンツの配信が可能になるため赤外線ユニットを除外した.(2)歴史・文化遺産を低コストでCG化する手法を考案した.(3)「ケータイまち遊び検定」システムを確立し,新潟県糸魚川市街,福井県鯖江市街でも実施した.本システムは参加者の携帯電話の機体番号による行動追跡が可能なため「だれが(個人不特定),いつ,どこを,どのように(正解・不正解)」回遊したかを分析でき,これまで不可能であった観光地における観光客の動線と観光魅力に対する各種解析を可能にした.
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