研究概要 |
本研究は,プロジェクトマネジメントのスキルを実務経験がない学習者が修得する教育方法の確立を目的とする.平成21年度は,ヒューマンスキルに関係するコミュニケーション,リーダーシップ,ネゴシエーションの能力を高めるために,ロールプレイ(以下,RP)演習にて学習者に情報共有,当事者意識,ステークホルダーの利害の認識を促すRP演習方法とその演習のシナリオ作成方法を提案し,RP演習で取得した学習者個々人の行動ログ分析と学習者へのアンケート調査結果により,学習効果を評価し,RP演習実施方法とシナリオ開発方法の有効性を示した. 具体的には,学習者に情報共有等を促すためにRP演習の進行状態をモニタし,あるいは学習者の求めに応じ,学習者に情報を提供するソフトウェアエージェントを用いたRP演習方法を実現した. RP演習シナリオの中に記述される仮想プロジェクトの組織構造と登場するステークホルダーの関係,およびステークホルダーの利害の関係をUMLのユースケース図で表すシナリオ作成方法を開発した. また,シナリオのHTML表記,RP演習を制御するためのXMLタグ付け,および仮想プロジェクトの状態遷移記述を支援するシナリオ編集統合システムを開発し,シナリオの生産性を大幅に向上させることができた. これら提案方法を適用した4つのシナリオを開発し,講義でそれら4つのロールプレイ演習を実施した.その結果,ロールプレイ演習を繰り返すことで学習者の当事者意識が高くなることを確認できた. 更に,RP演習中に学習者が参照できるプロジェクトマネジメントのオンライン用語集と,タスクネットワーク図からEVM(Earned Value Management)のPV(Planned Value)を求める課題,クリティカルパスを抽出する課題,プロジェクトの遅延対策を立案するスケジュール管理の演習課題を支援する機能をWebサービスとして開発した.
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