研究概要 |
本研究では,情景に存在する様々な文字情報に対して,OCR【光学式文字読み取り装置】の適用を可能とする手法の提案と,OCRと人間が対話形式で協調しあうことで,OCRの認識結果を参照した文字情報の誤り箇所発見や,認識結果に対して人間が容易に認識結果を修正できる,情景に存在する文字情報の電子化支援システムの開発を目的としている.平成19年度では,文書レベルにおける文字情報の電子化を支援する手法の提案と有効性の検証として,答案採点作業の負荷に伴う教官の未採点や採点誤りを自動的にチェックし,人間に採点結果の再確認を促す『答案採点支援システム』の実現するために必要な要素技術の研究を実施した. ここで,得られた研究実績として,「文書レベルにおけるOCRの適用が困難な文書データの一つである答案用紙に対して,イメージスキャナを用いて実験用の重ね書き文書画像データベースを作成」,「既に開発済みの重ね書き文字の分離抽出手法,実際の文書データに対して適用し,正確に重ね書き文字の分離抽出精度を向上させる改善方法の提案」,「分離抽出された文字候補に対する既存の活字専用OCRおよび独自の認識処理による精度調査の実施」,「情景中の文字情報が存在する位置特定に関する手法の提案と提案手法の有効性に対する調査」,があげられる.上記の成果の一部分については,7件の学会発表を実施した.また,これらの成果によって,情景に存在する様々な文字情報に対して,OCRの適用を可能とする文字情報の電子化支援システムの実現への可能性を高めたといえる。
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