今年度は以下の研究を行った。 (1)特殊な運動習慣としてけん玉の「ふりけん」という技の運動を解析した。その結果、熟練者群は初心者群よりよく運動しており、特に垂直方向への運動量の違いが顕著であった。熟練者群においては初心者群と比較して全体として運動する玉と身体との運動が協調していたのだが、特に運動する玉と協調していたのは、頭部(見ることに関連する身体部位)であった。熟練者群では、そのカップリングを達成するようにけん玉で重要だと言われる膝の運動を制御していたと考えられた。一方初心者群では、玉の運動に対して身体はスタティックな運動をしていた。頭部運動と玉の運動との頑強なカップリングとそれを支える膝の運動に特徴づけられる熟練者の姿勢制御は、ふりけんをするときに自転をして運動する玉を行為者にとって見やすいものにすることに寄与していたと考えられた。 (2)一般的な運動習慣として「寝返り運動」を取り上げ検討した。寝返り運動には様々な運動パターンがあることが複数の研究で示されており、個々人ごとの身体特性に応じて個人ごとに選好される遂行パターンがあることも指摘されている。乳児が寝返り運動を獲得していく発達過程の観察では、様々な動作の生起頻度の変動のなかで乳児は後の寝返り運動に繋がる運動パターンを彫琢していくこと、身体運動の傾向がその発達過程に関与していることが示唆された。 これらの質の異なる習慣行為についてそれを解析する方法論についての方向性を確認し、さらに一定の事実についてデータを得た。習慣の基礎構造についてある程度の基礎的事実を得た。(664字)
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