研究概要 |
「人間は,なぜ今までに存在しない新しいもの(概念)を生成することができるのだろうか?」そして,「どのようにして創造性の高い概念を創出しているのか?」という問いに向けて,デザイン創造における概念融合の位置づけの明確化とプロセスの体系化を行った。最終年度の21年度は,本研究の実験で得られた知見が従来の研究蓄積のうえで議論されるよう体系的位置づけを明確化するとともに,実験の検証と制約条件を特定した.従来の研究では,デザインの創造的思考も,アナロジーを基本とした写像によるものが主であり,それがひらめきを誘発した事例が多く扱われていた.本研究は,それ以上に,概念融合が重要てあることを指摘した世界初の研究であり,デザインの本質を追及するうえで非常に重要な知見を示すことに成功した.比較実験という研究方法を構築したことがそれを導いたといえる.研究の内容を公開するために研究成果をまとめ.広く国内外の専門的研究者および他領域の研究者との議論を活発に交わすとともに,論文として投稿した.発表した論文はデザイン研究領域の国際的ランクで最高位と評価されたジャーナルに掲載され,海外の大学からの招聘を受け,本研究の成果を発表した.招聘先は,オーストラリアのモナシュ大学,および,メキシコのモンテレー工科大学である.いずれも講演での研究紹介に対し多くの肯定的なコメントを得,国際的議論の場での貢献を果たした.
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