研究概要 |
本研究では,取得される遺伝的データの性質と生物集団の階層構造を考慮し,集団構造の推測において柔軟な統計モデルの構築および精度の高いパラメータ推定方法の開発を目指す.また,シミュレーション実験を通して推定性能を評価するとともに,水産生物などの遺伝データへ適用することでモデルの妥当性を検討することも目的としている. 平成20年度は以下の項目について統計的な再検討を行った.1)遺伝的差異Fstの遺伝子座間変動を捉える確率モデル,2)連鎖不平衡を伴うSNPsデータを想定した2対立遺伝子かつ多数の遺伝子座からのデータに対する統計モデルへの拡張,3)効率的な計算アルゴリズムの開発.連鎖不平衡モデルの構築およびパラメータの推定に関し,高次元積分を伴う尤度の利用が必要となり,したがってその最適化には工夫を要する.本研究では,高速自動微分とラプラス近似を利用した数値的積分法を利用しているが,マルコフ連鎖モンテカルロ法の援用により更に柔軟なモデリングも可能であることも明らかとなった.
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