研究概要 |
本研究では,生物資源の保全と管理の実践において必要とされる集団構造の推測に関し,取得される遺伝的データの性質と生物集団の階層構造の特性を考慮し,柔軟な統計モデルの構築および精度の高いパラメータ推定方法の開発を目的としている.特に,遺伝的差異の指標であるFstについて,そのゲノム内の変動を取り入れたモデルの構築や,高い精度をもつ推定法の検討を重要課題とした.また,シミュレーション実験を通して推定性能を評価することに加え,配布可能なソフトウエアの提供も目的としている. 研究の成果として,経験ベイズ法によるペアワイズFstの推測法の開発を完了し,その手法に関するフリープログラムの提供を可能とした.また,集団の遺伝的混合率推定における精度評価とそのシミュレーション法,および連鎖不平衡を伴うSNPsデータを想定した2対立遺伝子かつ多数の遺伝子座からのデータに対する統計モデルへの拡張および計算アルゴリズムに関する検討を行った.なお,混合率推定の精度評価に関するプログラムもフリーに利用可能となるように準備中である.
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