研究課題
基盤研究(C)
2005年日本内科学会総会において、日本独自のメタボリック症候群(MS)の定義と診断基準が発表された。このMS診断に使われる腹囲の基準値についてどの程度信頼できるのかが疑問視されている。この問題の解決には、長期に亘るコホート研究が必要である。なぜなら、MSによる健康障害は10年以上の長期に亘る血管内皮障害によって形成されるからである。放射線影響研究所(RERF)には、1958年以降隔年に実施された約2万人の健康診断の検査成績が蓄積されている。しかし、腹囲の測定は2004年からである。仮に、10年前における腹囲の不偏推定値を得られるならば、適切な統計的手法を用いることによりMSによるリスクを推定するためのコホート研究を直ちに実施出来ると考えた。Carroll et al(1995)は外挿の特別な場合として、ある集団で得た誤差を含む予測モデルが他の集団に適用できる場合を"移設可能(Transportable)"と呼び、測定誤差を無視した単純なモデルでは、他の集団への移設は不適切であるかもしれないと述べている。本研究は回帰モデルの移設可能性を数学的に定義し、実用的な検証方法を示した。さらに回帰モデルの移設によって得られた腹囲の移設推定値を、RERFのデータに適用した結果、MS予備群の場合、腹囲が小さいほど死亡リスクが高いことが示唆された。本研究はRERFにあるデータを利用したが、日本中には多くの健診蓄積データがある。これらのデータにここで利用した方法を適用し、コホート研究を行うことで、MS診断基準の妥当性が明らかになることが期待される。
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Proceedings of New Theory and Applications of Statistical Inference in High-Dimensional and Multivariate Analysis
ページ: Contents 7
日本計量生物学 30巻
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Proceedings of the World Congress on Engineering and Computer Science 2009 Vol.II
ページ: 768-773