本研究は1)画像認識のための新しい情報量基準の提案、2)拡張型エントロピーによる独立成分分析(ICA)とその応用、3)時間-周波数表現(TF)理論とその応用、の3つの柱からなる。 1)画像閾値決定は画像解析の基本であり、大きく、統計学的根拠と情報論的根拠に基づくものが提案されている。ここでは、それらの方法の本質的意味と関連性を考察するとともに、そこから生まれるより適切な最適基準について考え、それらの応用を図る。 2)ICAで主として用いられる相互情報量(MI)基準は、その概念から考えもっとも適用性の高いものといえる。しかし、その計算コストは高く、これを解決するための種々の手法があるが、それにより、局所解など重大な問題が生じる。ここでは、拡張型エントロピーを用い、一般性の犠牲のもとに問題に特化した効率的で直観的な方法を提案する。さらに、生体信号解析、ロボットの知覚・認識への応用を図る。 3)人は時間変化する信号や画像の特徴を時々刻々知覚する。この能力を模した信号・画像解析理論としてTF解析は強力でああるが、いまだに問題は山積みである。本研究ではそれら問題点を洗い出し、エネルギー分布としてのTF分布推定に必要な時間周辺分布(TMD)や周波数周辺分布(FMD)の推定法を提案する。TMDに関しては特にAM変調型を想定し非線形処理の導入を図る。また、神経情報伝達に代表されるパルス列信号のTF理論は未だなく、これに関する基礎的検討も行うとともに、生体信号解析などへの応用も図る。
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