多変量の地理情報データを解析する場合、すぐにモデルを当てはめるのではなく、まずは統計地図などの視覚化ツールを用いてデータの位置関係を観察することがとても重要である。統計地図は、平面的に情報を描画するために観測地点の2次元的な位置関係を把握することには長けているが、観測地点の高さに関する情報を視覚的に把握することが困難である。これを補うことを目的として、空間分析支援システムの基盤となる立体統計地図の開発を進めてきた。今年度は、(1)昨年度までに開発してきた立体地形図描画システムの機能拡張(OLAP機能やコンディショニング機能など)、(2)各種データマイニング手法を地理情報データに適用するための諸問題の解決方法の検討と実装に関する研究開発を行った。これにより、立体統計地図上で解析データの分布の特徴を把握したり、また、立体統計地図上でデータの条件付けやサンプリングを施したり、さらに、地理情報データに代表的なデータマイニング手法(分類手法や判別分析など)を適用し、その結果を立体統計地図上に表示させたりすることが可能となった。新たに実装した機能を利用して解析をすると3次元空間として視覚的にわかりやすくなった。しかしながら、"高さ"が重要な要因になりえない地理情報データについてはその効果はほとんど見受けられなかった。また、緯度・経度・標高をもつ地理情報データを汎用的に解析する空間分析手法についてさらに研究を進めていく必要性を強く感じた。
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