研究概要 |
混獲組成の解析方法の開発(非正規性の強いデータからの特徴量の抽出方法の開発) 各漁で混獲された様々な海洋生物の漁獲・混獲数のデータから海洋生物種間のかかわりを解析するための統計手法として一般化主成分分析法(GPCA法)を提案した。この手法は、一般化線型モデル(GLM)が線型モデルを拡張することと同様の意味において主成分分析法を拡張するものである。ゼロの割合が高く非負の値を取るという漁獲・混獲データの特徴に特に適したものとして誤差にTweedie分布を想定し、対数リンク関数を用いた一般化主成分分析法、Tweedie-GPCA法を提案した。GPCA法は尤度を基にした統計モデルであり、対数尤度値を見ることによってモデルのあてはまりや特徴量にどれだけ説明力があるかの評価ができるという利点がある。この手法を用いて東部太平洋でのマグロ巻網漁による漁獲・混獲データ(標本数2834,56変数)を解析したところ4つの特徴量で70%の尤離度(deviance)を説明でき、また、陸からの距離や海流などの環境要因との関係が強い特徴量が得られた。 ゼロが多いことを考慮せずに解析することによる問題点の指摘 ゼロの割合が高いデータに対してそのことに注意を払わずに従来の統計手法で解析すると適切な結果が得られないことを指摘した。特に、負の2項回帰モデルをゼロの割合の多いデータに用いると減少(あるいは増加)傾向を極端に示し資源評価には問題が大きいことを実データとシミュレーションデータの両方で示し、理由を解析した。
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