研究概要 |
今年度は研究実施計画に基づき以下の3点に重点を置いて研究を実施した。1)GAL4/UASシステムの確立と応用。緑(GFP)や赤(RFP,Cherry)の膜結合型蛍光タンパク質をUASの下流につないだリポーターfishを作成した結果、より詳細な神経回路の観察が可能となった。加えてテタヌス神経毒素を発現するエフェクターfishを作成することにより特定の神経回路の不活性化に成功し、その効果を行動観察で確認することが出来た。さらに、リガンド依存的に神経活動の抑制が可能なAllatostatin receptor,薬物の投与によって細胞死を誘導できるnitroreductaseを組み込んだUASラインを作成中であり、これらを確立することにより異なる系での特定神経回路の不活性化が可能になると考えられる。2)匂い刺激応答をモニターする系の確立。UASの下流にsynaptopHluorin(spH)をつないだリポーターfishを作成した結果、異なる匂い刺激応答による嗅細胞の神経応答をとらえることが可能となった。3)匂い応答行動解析システムの確立。Zebrafish成魚を用いて匂い刺激により誘発される行動を分類し解析する系を確立した。さらに前述のGAL4/UASシステムを用いて、特定神経回路を不活性化したZebrafish成魚を用いた結果、特定の匂い応答行動と神経回路の対応関係を解析することが可能となった。来年度はこの「特定神経回路の不活性化と嗅覚応答行動の変化」を解析することにより、本研究の目的である「嗅覚情報処理機構と嗅覚応答行動を理解すること」が出来ると期待される。
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