ニューロン集団が同時に興奮性入力を受けたり、同期発火したりする場合に脳組織内に生じる集合的電位は、ローカルフィールドポテンシャル(LFP)と呼ばれている。LFP、特にその時間周波数解析は、特定脳機能と関係して賦活する脳部位の同定や局所神経回路における情報処理、さらにはブレイン-マシン インターフェース(BMI)における脳内情報の読み取りに関して、有用な情報を与える意義深い神経信号であることが最近の研究からわかってきている。 本年度、我々は以下のような研究開発を行った。 (1)フラッシュ刺激を与えた麻酔下のラットの上丘からLFPを記録して与えた刺激の周波数を解読する実験を行った。その結果、上丘では非常に厳密な精度で、視覚刺激の周波数と刺激提示のタイミングを解読することが可能であることが示された。 (2)脳全体のグローバルな同期情報を用いた、新しいBMI技術の基礎開発を目指して、あいまいな脳状態とはっきりとした脳状態を、脳波を用いて計測した。その結果、二状態間で、周波数パワーと位相同期指数に違いが見られることが分かった。 (3)脳波やLFPをリアルタイムで時間周波数解析するプログラムを作成した。
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