研究業績概要 具体的な実験観察課題:「GABA陽性脊髄側角ニューロンが支配する上頚神経節交感神経節後ニューロンは、いかなる組織、細胞に投射するのかについての観察」 1. 逆行性標識物質である「ニュークリアー黄」や「WGA-HRP」を松果体、前眼房、顎下腺、顔面上部の皮下、顔面中部の皮下に注射し、3-7日後にラットを麻酔、注入固定して両側の上頚神経節を摘出、後固定を経て、凍結切片作製。浮遊法でGAD65、あるいはGAD67抗体で免疫組織化学法を実施。蛍光顕微鏡で観察を行った。松果体、前眼房について陽性所見はなく、逆行性標識された上頚神経節節後ニューロンの細胞体、あるいは細胞体近傍をGABA陽性線維が取り囲む所見を見つけることは出来なかった。 2. 耳下腺、顎下腺、口腔粘膜、顔面・頚部皮下に実施したところ、顔面、頚部皮下投与例でごく少数の上頚神経節ニューロンに接近するGABA陽性の節前線維終末が認められたが、明瞭な取り巻き構造は観察できなかった。結果、唾液腺支配の交感神経節後線維には関係しないことが分かった。 3. 今年度の実験観察では、GABA陽性節前ニューロンが、密度高く終末する上頚神経節ニューロンが、どういった組織、細胞に投射しているかを確定する所見を得ることはできなかった。したがって、今後は頚部・胸部皮膚と皮下、および、頚部内臓、胸部内臓周辺での観察を実施してみたい。
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