研究課題
tPA-Plasminogen系は脳の可塑性に関与することが示唆されているがそのメカニズムについてはほとんど解明されていない。本研究においては、tPAならびにPlasminogenノックアウトマウスを用いて、浸透圧刺激を与えた時のバソプレッシン分泌を調べた。その結果、tPAノックアウトマウスは急性と慢性の両刺激に対して、またPlasminogenノックアウトマウスは慢性刺激に対してバソプレッシン分泌に異常が認められた。tPAは細胞外マトリクスを分解する経路とLRP-1に作用してシグナル伝達に関与する経路が示唆されている。そこで、Plasminogenの局在を調べたところ下垂体後葉の血管系に特異的に存在することが明らかになった。さらに、Plasminogenノックアウトマウスにおいては慢性浸透圧刺激によるLamininの分解が抑制されていることより、血管のマトリクス構造の変化がバソプレッシンの透過性に影響を与えていることが明らかになった。さらに、LRP-1の局在を調べたところバソプレッシン神経の終末部に存在しtPAがLRP-1を介して急性バソプレッシン放出に関与している可能性が示唆された。以上の結果は、tPAによるバソプレッシン放出機構には、LRP-1による急性反応とPlasminogenの活性化による細胞外マトリクスLamininの分解による血管透過性の慢性反応の2経路が存在することがわかった。
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