研究課題
当該研究の本年度の目的は、海外研究協力者らによって三次元形態と電気生理学的特性を同定された嗅球糸球体介在ニューロン群のシナプス結合の同定を行なうものである。海外研究協力者の米メリーランド大学医学部のShipley教授の研究グループと共同実験するために渡航し、遺伝学的に同定されたGABAニューロン(GAD65-GFPニューロン)とTHニューロン(TH-GFPニューロン)を蛍光直視下にスライス・パッチクランプ・ホールセルレゴーディング法で、嗅受容細胞を刺激後の反応性を比較検討した。その結果、GAD65-GFPニューロンは嗅受容細胞を刺激後の反応性にはEPSCが一様である群と多様である群に分けられたが、形態は似通っており、単一の糸球体に樹状突起を伸展していた。一方、TH-GFPニューロンも嗅受容細胞刺激後のEPSCが一様である群と多様である群に分けられたが、形態はGAD65-GFPニューロンよりも多様性に富み、複数の糸球体に樹状突起を伸展していた。注目すべきはEPSCが多様である群は樹状突起が明らかに長く、関わる糸球体の数も40にも及ぶニューロンも観察された。(Kiyokage et al.論文投稿準備中)国内では、抗GFP抗体を用いて免疫染色をして、夫々のニューロンのシナプスの同定を行なった。その結果、GAD65-GFPニューロン及びTH-GFPニューロン共に嗅受容細胞とmitral/tufted cellと考えられる投射ニューロンの樹状突起から非対称性シナプスを受けていた。また共に投射ニューロンの樹状突起へ対称性シナプスを形成していたが、典型的なreciprocal synapseは観察していない。現在、嗅受容細胞と投射ニューロンのとのシナプス結合の定量を進めているが、現時点までの結果から、TH-GFPニューロンはGAD65-GFPニューロンに比べ、嗅受容細胞からのシナプス入力の頻度が多い傾向にあると考えられる。今後更に詳細に解析を進めたい。
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顕微鏡、第43巻4号 : 20-23, (2008) 43
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