研究課題/領域番号 |
19500324
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
橋本 道男 島根大学, 医学部, 准教授 (70112133)
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研究分担者 |
片倉 賢紀 島根大学, 医学部, 助教 (40383179)
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キーワード | ドコサヘキサエン酸 / ヒト介入試験 / 二重盲検並行群間比較法 / ミニメンタルステートテスト / 前頭葉機能試験 / 健常高齢者 / 認知症予防 |
研究概要 |
ドコサヘキサエン酸(DHA)強化ソーセージによる認知症予防効果の検討-ヒト介入試験- 平成19~20年の基礎研究、さらには過去の我々の研究成果から、加齢に伴う認知機能低下に対するDHAの予防効果が推察されたので、65歳以上の在宅健常高齢者を対象としたヒト介入試験を行った。 【実験方法】島根県川本町在住の認知症と診断されない平均年齢73歳の高齢者108名を対象に、DHAとエイコサペンタエン酸(EPA)が規定量(DHA850mg、EPA200mg)含有する魚肉ソーセージを被験食品、オリーブ油を添加した魚肉ソーセージをプラセボとして、両品を2つのグループに分けた対象者にそれぞれ1年間程度摂取させる事による二重盲検並行群間比較試験を実施した。両群それぞれのソーセージは1日2本を摂取し、認知機能や記憶力を簡単に測定できる質問形式のMMSE(ミニメンタルステートテスト)や、6課題からなる前頭葉機能検査(FAB)を行い、高齢者の認知機能に及ぼすDHAの影響を検討した。さらには血漿・赤血球膜脂肪酸を測定した。 【結果・考察】DHA強化ソーセージ摂取群の血漿・赤血球膜DHA・EPA量は増加した。認知機能評価として行ったMMSEとFABのうち、重なった五角形を模写させるMMSE-12が摂取6ヶ月後で改善傾向となり、12ヶ月後では有意な改善が認められた。また、ルールを決めて指運動をやってもらうFAB-4は6ヶ月で有意に改善され、運動プログラムや短期記憶の低下が抑えられたことが示唆された。一年間の赤血球膜DHAの変化量とFAB-4の評価値との間には有意な相関が認められた。 今回の解析より、短期記憶や運動能力、模写などに関連する加齢に伴う認知機能の低下がDHA・EPA強化ソーセージの摂取によって抑制されることが明らかとなり、DHAによる認知症予防効果が示唆きれた。
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