研究概要 |
本研究は、細胞内小胞輸送や形質膜輸送を制御するSyxファミリーに着目し、神経細胞のERストレスに伴う膜蛋白質輸送・糖鎖修飾・ゴルジ装置構造変化におけるSyxの役割を明らかにするのが目的である。今年度においては株化培養細胞・初代培養海馬神経細胞にTunicamycinやThapsigargin(ER内Ca^<2+>ホメオスタシスの撹乱)やBrefeldinA(ER-ゴルジ間の小胞輸送を阻害する毒素)処理することによりERストレス負荷を与えた系において、Syx5アイソフォームの発現および細胞内動態の変化に焦点を当てて解析した。ERストレス負荷を与えた細胞において免疫化学的手法によりSyx5アイソフォームの細胞内局在を検討したところ、Syx5アイソフォームは斑点状に局在した。他の細胞内小器官のマーカータンパク質との共染色により、それらはいわゆるGolgi fragmentationの結果生じたものであった。この現象はSyx5アイソフォームの発現をknock-downした時にも同様に見られる(Suga K., et. al.,FEBS lett.2005)ことからも、ゴルジ装置の形態維持とERストレス負荷に対する細庖応答にSyx5アイソフォームが関与している可能性を示唆した。この可能性について、Syxアイソフォームの役割の差異も考慮しながら、詳細に検討している。またこれに関連してSyx5アイソフォームであるSyx5Lが膜蛋白質輸送の過程に置いて、Aβ分泌並びに細胞内βAPP蓄積に対する効果がアイソフォーム間で異なることを見いだしました(Suga K., et. al.,in preparation)。またごく最近では異なるSyxアイソフォームであるSyx7,Syx8のpost-Golgiコンパートメントにおける局在化決定機構を明らかにしました。
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