研究概要 |
本研究は、細胞内小胞輸送や形質膜輸送を制御するSyxファミリーの中において、特異な機能を有することを示したSyx5アイソフォームに着目し、神経細胞のERストレスに伴う膜蛋白質輸送・糖鎖修飾・ゴルジ装置構造変化におけるSyx5の役割を明らかにするのが目的である。株化培養神経細胞・初代培養海馬神経細胞にTunicamycinやTG(ER内Ca^<2+>ホメオスタシスの撹乱)やBEA(ER-ゴルジ間の小胞輸送を阻害する毒素)処理することによりERストレス負荷を与えた系において、Syx5アイソフォームの発現および細胞内動態の変化に焦点を当てて解析した。ERストレス負荷を与えた細胞において免疫化学的手法によりSyx5アイソフォームの細胞内局在を検討したところ、Syx5アイソフォームは斑点状に局在し、Syx5アイソフォームの発現をknock-downした時にも同様に見られるいわゆるGolgi fragmentationが観察された。また初代培養海馬神経細胞にTGやBEA等のERストレス負荷をすると、Syx5アイソフォームの発現量が変化することも見出した。このメカニズムについて、Syxアイソフォームの役割の差異も考慮しながら、詳細に検討している。またこれに関連してSyx5アイソフォームであるSyx5Lが膜蛋白質輸送の過程に置いて、Aβ分泌並びに細胞内βAPP蓄積に対する効果がアイソフォーム間で異なることや(Suga K. et al., submitted)、初代培養海馬神経細胞のERと隣接する細胞内小器官であるミトコンドリアのCa^<2+>ホメオスタシスへの虚血や低酸素等のストレスの影響についても共同研究により検証した(Neurosci Lett.,2008, Neurochem. Res.,2009)。
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