研究概要 |
本研究は、細胞内小胞輸送や形質膜輸送を制御するSyxファミリーの中において、特異な機能を有することを示したSyx5アイソフォームに着目し、神経細胞のERストレスに伴う膜蛋白質輸送・糖鎖修飾・ゴルジ装置構造変化におけるSyx5の役割を明らかにするのが目的である。 株化培養神経細胞・初代培養海馬神経細胞にERストレス負荷を与えた系において、Syx5アイソフォームの発現および細胞内動態の変化に焦点を当てて解析した。免疫化学的手法によりSyx5アイソフォームの細胞内局在を検討したところ、ERストレス負荷を与えた細胞においてSyx5アイソフォームは斑点状に局在し、Syx5アイソフォームの発現をknock-downした時にも同様に見られるいわゆるGolgi fragmentationが観察された。Syx5アイソフォームの役割の差異も考慮しながら、詳細に検討したところ、βAPP等の膜蛋白質の細胞内輸送などの過程においてSyx5アイソフォームの役割の差を示した(Suga K.,et al.,J.Biochemistry 2009)。また様々な培養細胞ならびに初代培養海馬神経細胞においでTunicamycin (Tm)やTg(ER内Ca^2+ホメオスタシスの撹乱)やBFA (ER-ゴルジ間の小胞輸送を阻害する毒素)処理することによりERストレス負荷を行うと、Syx5アイソフォームの発現量が増加することを見出した(Suga K.,et al.,in preparation)。
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