本研究は、細胞内小胞輸送や形質膜輸送を制御するSyxファミリーの中において、特異な機能を有することを示して来たSyx5アイソフォームに着目し、神経細胞のERストレスに伴う膜蛋白質輸送・糖鎖修飾・ゴルジ装置構造変化におけるSyx5の役割を明らかにするのが目的である。Syx5アイソフォームの役割の差異も想定しつつ、ERストレス時におけるSyx5アイソフォーム自身の発現量・局在の変化に焦点を当てて検討する。また、Syx5アイソフォームの発現量を人為的に変化させた系において、その効果を膜蛋白質の輸送・糖鎖修飾・ゴルジ体構造のダイナミクスと共に検証する。またSyx5と結合してSNARE複合体を形成するGolgi-SNARE、それら複合体形成の調節因子であるSM蛋白によるSyx5アイソフォームの機能修飾までも視野に入れて解析する。生化学的解析と生細胞におけるダイナミクスを統合して解析することにより、神経細胞のERストレスにおいて、Syx5アイソフォームを中心とした分子群がどのような機序で膜蛋白質の糖鎖修飾を含めた正常な生合成・細胞内輸送の過程に関与するのか、そしてERストレスが細胞全体にどのように波及していくのかを時空間的に明らかにする。
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