研究概要 |
近年のin vivo imagingの進歩は、生きた動物において非侵襲性かつリアルタイムに遺伝子発現や細胞の追跡を可能にした。発光酵素であるfirefly luciferase(flue)とその基質であるluciferinの反応による微弱な発光を超高感度CCDカメラにより検出するbioluminescence imaging(BLI)はimaging法の中で最も注目されている手法の1つである。過去にわれわれは脊髄損傷や脳虚血などの中枢神経損傷に対して各種幹細胞を用いた移植療法の有用性をBLIのimaging法を用いて報告してきた(Stroke,2004、FASEB J,2005)。各種幹細胞の移植効果や動態解析、損傷神経の病態解明のために分子画像診断法の確立は必要不可欠であり、本研究(平成19年度)においてはまず損傷末梢神経における痛みとアロジニアの可視化を実施した。シクロオキシゲナーゼ-2(Cox2)遺伝子プロモーター下にflueを発現するトランスジェニックマウスを購入し、各種坐骨神経損傷モデル(切断、圧挫)を作製後、経時的にflueの発現を観察した。しかしながら、マウスにおいていくつかの臓器にCox2発現が観察されたため、神経損傷部でのflue発現の詳細な検討が不可能であった。そこで、組織別の発現を調査し、脳や腸管などの組織での発現を確認した。それらの発現抑制法を試行錯誤し神経損傷モデルでの実験を継続した。同時に、神経損傷モデルを用いて各種プローブ投与後に蛍光イメージング法を用いて損傷部の状態を可視化した。
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