研究概要 |
1.毛様体神経栄養因子(CNTF)の発現調節に関する研究:免疫組織化学により、分散培養された成熟ラット後根神経節(DRG)ニューロンの細胞体内にCNTFの発現がみられた。これに対し培養シュワン細胞にはCNTFの発現はみられなかった。一方マトリゲル内で器官培養されたDRGでは、 CNTFの発現がシュワン細胞にほぼ限局しており、ニューロンでの発現はみられなかった。以上のことから、ニューロンにおけるCNTFの発現は、培養自体ではなく細胞間の相互作用(特に軸索とシュワン細胞との接触)が断たれることにより誘導されるものと考えられた。(Sango et al.,Histochem Cell Biol,2007) 2.CNTFの作用機構に関する研究:培養液中に投与したリコンビナントCNTF(50ng/ml)は、培養DRGニューロンの生存や神経突起伸長を有意に促進した。Westem blotthlgにより、CNTF投与5-30分後にDRGニューロンにおけるSTAT3、ERK、Aktの各リン酸化誘導がみられた。またJAK阻害薬もしくはPI3K阻害薬を付加することにより、CNTFの生存・突起伸長促進効果は減弱〜消失した。これに対しMEK阻害薬を付加した場合、生存に変化はみられなかったが突起伸長は低下した。以上より、CNTFによる細胞死制御にはJAK-STAT3及びPI3K-Aktのシグナル伝達系の関与が、軸索伸長促進には上記に加えMEK-ERK系の関与が示唆された。(Sango et al.,submitted.) 3.ガレクチン-1の発現調節に関する研究:免疫二重染色により、成熟ラットDRGのGDNF依存性小径ニューロン(isolectin B4に結合)にガレクチン-1が強く発現していることを明らかにした。 DRGニューロンの分散・器官培養系を用いて、GDNFによるガレクチン-1の発現調節機構を解析中である。
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