研究概要 |
本年度は初期エンドソームから後期エンドソームの移行に必須のclass C VPS/HOPの働きを抑制する為に必要となるsiRNAを作製する事が出来た。class C VPS/HOPはVPS11, VPS16, VPS18, VPS33, VPS39, VPS41から構成されており、そのそれぞれに対して発現抑制効果を有するsiRNAを用意してin uteroエレクトロポレーション法によりin vivoの神経細胞に対して導入し、同時にニューロン特異的な転写プロモーターによって赤色蛍光タンパクを導入することで遺伝子導入ニューロンにおいてのみ特異的に神経突起の形態を観察した。class C VPS/HOPの各コンポーネントを抑制した結果、明らかな神経突起の形態異常が観察されclass C VPS/HOPが神経突起の伸長ならびに構造維持に重要な役割を担っていることが示唆された。また、初期エンドソームから後期エンドソームの移行を制御する事で神経突起伸長に関わる分子であるSoloに関しても下流シグナル伝達系として想定されるRho small GTPaseファミリー分子に対するsiRNAを作製しSolo活性化条件下での抑制実験を行った結果、Rac 1が重要な役割を担っている事が示唆される結果を得ることが出来た。今後は、Solo、 class C VPS/HOP、 Rho small GTPaseファミリー分子による初期エンドソームから後期エンドソームへの移行を介した神経突起伸長制御メカニズムを個々の分子間の相互作用からなるシステムとして総合的に理解する事を目指した研究を進める事が重要であると考えられた。
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