研究概要 |
中性アミノ酸トランスポーターの一種であるアラニン、セリン、システイン輸送機構(alanine-serine-cysteine transporter, ASCT1, 2)の阻害剤スクリーニング等のためのハイスループットアッセイ系の開発のためには、内因性のASCT1,2が高発現していないホスト細胞を選ぶ必要がある。平成19年度、20年度はチャイニーズハムスターの培養細胞であるCHO細胞やHEK293細胞等を用いて実験を実施したが、内因性のASCT1,2の発現量が高く、ASCT1,2のアッセイ用のホスト細胞としては不向きであることがわかった。そこで平成21年度は、3T3細胞等で実験を行ったが、やはり内因性の中性アミノ酸の取り込み量が多かった。そこで実際にASCT1,2の発現量を調べるために、ASCT1,2のペプチド断片を化学合成し、抗体を作成しウエスタンブロットを行い内因性のASCT1,2の発現量を調べた。その結果、CHO細胞、HEK293細胞、3T3細胞もいずれもタンパクレベルで内因性のASCT1,2の発現が認められ、ハイスループットアッセイ系には残念ながら用いることができないことが判明した。唯一、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いてASCT1,2のアッセイは用いることができるので、今後電気生理学的アッセイ系を併用してスクリーニングを実施する必要がある。さらに本年度、生物機能化合物ライブラリーからランダム化合物ライブラリーの供与を受け、スクリーニング実施に向けてインフラ整備を行った。
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