研究概要 |
本研究では,in vitroの研究において異なる膜特性によって分類された前庭神経核ニューロン群が,invivoの研究で見出された機能の異なるニューロン群とどのような対応関係にあるのかについて調べることを目的としている。このため,私はこれまでin vivo標本においてホールセルパッチクランプ記録を行い,in vitroで明らかになった前庭神経核ニューロンの3種類の膜特性(スパイク後過分極,発火パターン,過分極性応答)を調べてきた。本年度は,対応関係を調べる前に,in vivoでの膜特性に関する基礎データをより確かなものにするため,in vivo記録のデータを増やし,膜特性を解析することを目指した。in vivo標本においてトータル41個の前庭神経核ニューロンから記録され,膜特性を詳細に解析した結果,前庭神経核ニューロンは3種類の膜特性によって分類されることがin vivoにおいても確認された。さらに,膜特性をもとにニューロンの分布を調べたところ,in vivoにおけるニューロン分布がin vitroでのニューロン分布に相当することが明らかになった。以上の結果により,in vitro,in vivoともに前庭神経核ニューロンを3種類の膜特性をもとに分類可能であることが明らかになった。この膜特性を指標にすることによってin vitro,in vivo両方において前庭神経核ニューロンを同定できることになり,今後の前庭系の研究において重要かつ基本的なものになると考えられる。
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