平衡機能の中枢である内側前庭神経核(MVN)では、in vivo標本での研究により頭部回転や眼球運動などに関連した活動様式を示すニューロン群が明らかにされており、一方で、in vitroスライス標本を用いた研究により膜特性の異なるニューロン群が存在することが明らかになっている。本研究では、in vitroの研究において異なる膜特性によって分類されたMVNニューロン群が、in vivoの研究で見出された機能の異なるニューロン群とどのような対応関係にあるのかについて調べることを目的としている。本年度は、自発発火パターンの規則性の違いによって分類されるregularニューロン、irregularニューロンと膜特性との関係を調べた。生後6-8週齢のラットからin vivo標本を作製し、MVNニューロンからホールセル記録法により膜特性と自発発火パターンを記録した。その結果、自発発火パターンはスパイク後過分極(AHP)の特性の異なるニューロン問で異なり、遅い成分のみのAHP[AHP(s+)]をもつニューロンはregularニューロンで、速い成分のみのAHP[AHP(s-)]または遅い成分と一過性の脱分極を示す[AHP(s+)with ADPIをもつニューロンはirregularニューロンであった。この関係はin vitroスライス標本において調べても同様であった。さらに、通電量と発火頻度の変化との関係を調べたところ、AHP(s-)をもつニューロンは発火頻度の変化が大きいことがわかった。
|