研究概要 |
1.前脳基底核の興奮性シナプス伝達におけるドーパミンDl型受容体とP/Q型カルシウムチャネルとの選択的共役を明らかにした(Momiyama&Fukazawa,J Physiol,2007)。 2,次いでこの論文内容を発展させる形で以下の結果を得た。 上記論文で解析した前脳基底核の興奮性シナプス伝達において (1)関与するカルシウムチャネルサブタイプの内で、N型の関与は生後発達(P21-P42)に伴って減少し、一方P/Q型チャネルの関与は増加した。 (2)ドーパミンD1型受容体アゴニストによるシナプス前抑制は、P/Q型チャネル関与は増加に伴って増加した。(3)生後発達のどの段階においても、P/Q型チャネルブロッカーの効果が平衡に達した後にはD1型受容体アゴニストによるシナプス前抑制は遮断された。 (4)ドーパミンD1型受容体はアデニル酸シクラーゼ系を活性化するサブタイプある。同系の活性化剤であるforskolinによるシナプス伝達抑制効果も、D1型受容体アゴニストによる抑制効果同様、生後発達に伴なって増大した。 (5)生後発達のどの段階においても、forskolinの効果が平衡に達した後にはD1型受容体アゴニストによるシナプス前抑制は遮断された。 (6)以上の結果から、上記論文で見出したD1型受容体とP/Q型チャネルおよびアデニル酸シクラーゼ系との選択的共役は、生後発達段階で不変と考えられる。
|