1)X線回折実験条件の設定:まず、昨年度に引き続き標本厚、標本伸展の程度・実験温度・ATP濃度・X線照射強度・X線照射時間・X線照射面積などを変え、もっともはっきりとしたコントラストが明瞭な筋フィラメント由来反射が観察される実験条件を決定した。具体的には、高輝度放射光施設であるSPring-8(兵庫県佐用町)の理化学研究所所有の生体試料専用ビームラインBL45XU小角散乱ステーションで4回、また大学共同利用機関法人・高エネルギー加速器研究機構・放射光実験施設BL-15A小角散乱ステーションにて、モルモット盲腸紐スキンド標本のX回折実験を1回行った。 2)弛緩・収縮・硬直サイクルに伴うX線回折像変化の測定: Ca^<2+>非存在下での弛緩条件のみならず、3μMCa^<2+>存在下で収縮反応時、又、ATP非存在下でいわゆる硬直条件が出現した状態におけるX線回折像を記録した。特に硬直条件時にミオシン主体の太いフィラメントとアクチンフィラメントおよび制御タンパク質で構成される細いフィラメント由来の反射パターンに変化がみられ、いわゆるフィラメント・リモデリングが平滑筋細胞で可逆的に起こっていることが確認された。
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