研究課題/領域番号 |
19500357
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
栗原 敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90057026)
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研究分担者 |
本郷 賢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00256447)
小武海 公明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60360145)
佐々木 博之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60170693)
福田 紀男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30301534)
森本 幸生 九州大学, 医学研究科, 准教授 (50202362)
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キーワード | 心筋 / トロポニン / 細胞内Ca2^<2+> / 筋小胞体 / CaMKII |
研究概要 |
ヒト拡張型心筋症の原因遺伝子変異である心筋トロポニン(Tn)のサブユニットTnTの点変異(ΔK210)を導入したマウスでは、ヒトと同様の拡張型心筋症の表現系を示した。特に、正常TnTを有しないホモ接合体ではその所見が著しく、以後の実験にはホモ接合体(DCMマウス)を用いた。DCMマウスはメンデルの法則に従い正常マウスと同様の比率で誕生するが、生後1ケ月頃より死亡する個体が見られてくる。この際、明らかな心不全徴候は認められず、突然死するものと考えられた。そして生後6ケ月以内には、ほぼ全ての個体が死亡した。DCMマウスでの、体重は正常マウスと同じであったが、心重量は有意に増加しており、心体重比も増加していた。心エコーを用いた機能評価では、DCMマウスにおいて、左室拡張末期径及び収縮末期径の拡大を認め、また左室駆出率及び内径短縮率は有意に低下していた。心臓の左心室より乳頭筋標本を摘出し、標本の表層細胞にCa^<2+>感受性発光蛋白エクオリンを圧注入して、エクオリンの光信号(Ca^<2+>transient)と等尺性収縮張力を同時測定した。DCMマウスでは、Ca^<2+>transientは有意に大きいにもかかわらず、収縮張力は有意に小さかった。また、Ca^<2+>transientの時間経過は延長し、反対に収縮張力の時間経過は短縮していた。これらの変化は、細胞外Ca^<2+>濃度を変化させても維持されていた。Ca^<2+>transientのピーク値を横軸に、収縮張力のピーク値を縦軸にプロットすると、両者の関係はDCMマウスでは正常マウスに比し右方に偏位しており、収縮蛋白系Ca^<2+>感受性がDCMマウスで低下していることを示唆している。
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