研究課題
ヒト拡張型心筋症原因遺伝子変異ノックインマウス(DCMマウス)の予後規定因子を検討した。アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬(ARB、カンデサルタン)投与(10mg/kg/日)はDCMマウスの予後を改善した。心エコー法によるin vivoでの心機能評価とエクオリン法による左室乳頭筋標本の細胞内Ca^<2+>動態測定に加えて、テレメトリーシステムによる心電図解析、光学顕微鏡を用いた組織標本観察、Western Immunoblot法を用いた心筋組織内BNPの定量を行った。ARBを4週齢より投与した後、4週間後には、DCMマウス心で拡大した左室拡張末期径及び収縮末期径は縮小し、左室駆出率は改善効果した。DCMマウスのCa^<2+> transientのピークは増大し時間経過は延長し、収縮張力はピークが減少し時間経過が短縮した。Ca^<2+> transientと収縮張力の変化はARB投与によって改善されなかった。左室乳頭筋スキンド標本では、DCMマウスの収縮蛋白系Ca^<2+>感受性は低下していたが、ARB投与により改善されなかった。心電図では、DCMマウスでQRS幅とQT時間の有意な延長が認められ、ARB投与は心電図変化を改善した。DCMマウス心筋では心筋組織線維化の進行が認められたが、ARB投与は線維化を抑制した。心筋組織内BNP蛋白量は、DCMマウス心筋で有意に増加し、ARB投与はBNP量を減少させた。以上の結果より、ARBによるDCMマウスの予後改善には、心筋組織リモデリング及び電気的リモデリングの改善が重要で、Ca^<2+>感受性変化は関係ないと考えられた。
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