研究課題/領域番号 |
19500364
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (70295210)
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研究分担者 |
葛西 孫三郎 高知大学, 農学部, 教授 (60152617)
枝重 圭祐 高知大学, 農学部, 准教授 (30175228)
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キーワード | 実験動物 / バイオリソース / 生殖細胞凍結保存 / 高圧凍結法 |
研究概要 |
生命科学の主流が個体を対象とした生命機能解析研究へ移るとともに、実験動物の重要性が高まっている。このためヒトの生命現象を解明するためのモデル動物を体系的に整備する哺乳動物バイオリソースの構築が進んでおり、多系統の実験動物を維持する機関が出現している。一方、実験動物として遺伝的な統御を受けていない野生齧歯類種や、マウス、ラット以外の哺乳動物も、生物多様性に富んだ独自性の高い科学基盤として今後のリソースの価値を高める要件であると考えられる。維持動物種の多様化に従い、リソースの効率的な管理には動物種や系統を限定しない生殖細胞の万能凍結法の開発が急務である。われわれは電顕試料作成技術として開発された高圧凍結法の応用を中心に、従来の凍結保存法の問題点を克服する試みを開始した。初年度はまず瞬間高圧凍結過程で生じる物理的な細胞傷害を評価するため、液体窒素温下の生殖細胞の形態観察のための低温置換法等、電顕試料の作成条件の確立を開始した。その結果、生理的な培養液や、1-1.5M程度の低濃度の耐凍剤を添加した溶液を用いて高圧凍結した試料の低温置換条件等が決定され、高圧凍結時の細胞の内外の氷晶形成や損傷の観察が可能になった。しかしガラス化溶液を用いた試料では低温置換時に高濃度の糖類が電顕試料作成に悪影響を及ぼし、良好な試料観察条件が得られないとがわかった。次年度は、高濃度溶液を用いたサンプルの固定観察条件の精査が必要である。また高圧法を用いる事で、ガラス化凍結の常識である超高濃度の耐凍剤溶液を用いずとも、胚のガラス化が達成されている事が証明できたため、より生理的条件に近い溶液の開発に向けた研究を継続することとした。さらに、細胞への耐凍剤透過を膜表面の水チャンネルの発現から評価した研究や、齧歯類精子の耐凍性の系統差克服のための研究も同時に行い、これらについては論文および学会で報告した。
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