研究概要 |
アスパラギン酸グルタミン酸輸送体は肝型のcitrinと脳型のaralarが知られている。Citrinの欠損は高アンモニア血症である成人発症II型シトルリン血症の原因となる。一方、aralarの欠損は、マウスで中枢神経系の脱ミエリン化と三週間程度の寿命を特徴とする表現形を示す。マウスモデルにおいて、citrin^<+/->あるいはaralar^<+/->は、野生型と同様の表現形を示す。最近になってaralarの変異を持つ、痙攣を伴った低ミエリン症の患者が報告されているが、発症機序など不明な点が多く残されている。Aralar^<-/->マウスは生後短期間で死亡するため、成長後の表現形検索ができない。そこで、aralar欠損による表現形変化がマイルドに発現することを期待し、citrin^<-/->,aralar^<+/->マウスを作製した後、成長後の表現形検索を行い、新たなモデル動物の基盤を確立することを目的とし、以下の結果を得た。 1. アスパラギン酸グルタミン酸輸送体欠損マウス(citrin-/-,aralar^<+/->マウス)の体重増加は、citrin^<-/->マウスと比較すると、緩やかであり、成長障害が認められた。また、骨密度はcitrin^<-/->,aralar^<+/->マウスで低かった。 2. Citrin^<-/->,aralar^<+/->マウスに糖質を負荷したが、成人発症II型シトルリン血症モデルマウスであるcitrin^<-/->,mGPDH^<-/->マウスと異なり、血中アンモニア濃度に変化はなかった。 3. Citrin^<-/->,aralar^<+/->マウスにおいて片眼性の異常が観察された個体について、約一年間観察を続けたが両眼性の異常が出現した個体は観察されなかった。
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