糖尿病などに代表される生活習慣病の最重要原因は肥満であり、「肥満=脂肪細胞の異常な分化、肥大」という事実に基づき、脂肪細胞の分化制御機構を分子、細胞、個体レベルで明らかにすることが、肥満防止の最重要課題と考える。特に、ペルオキソーム増殖因子の核内受容体型転写因子であるperoxisome proliferator-activated receptor-γ (PPAR-γ)は、組織発現部位やその転写活性制御機構に関して詳細に解析さており、脂肪細胞の分化、肥大を支配する倹約遺伝子として機能することが明らかとなってきた。しかし、PPAR-γと脂肪細胞の分化、さらに糖尿病発症を結ぶ分子メカニズムは明らかにされていないため、今回我々は、脂肪細胞の分化制御機構におけるPPAR-γの作用機序を明らかにするために、哺乳類に2種類存在するPPAR-γのうち、その組織発現部位が脂肪細胞に限局するPPAR-γ2に着目し、RNA干渉法(RNAi)を利用したPPAR-γ2のsmall ubiquitin-like modifier (SUMO)化の生理学的意義を細胞および個体レベルで明らかにすることを目的とし、以下の点を明らかにした。野生型マウスと比較して、PPAR-γ2特異的ノックダウンマウスは、1)、過食であるにも関わらず、体重増加率は低い。2)、血中レプチン量は約40%であった。3)、高脂肪食負荷時の重度の脂肪肝は認められなかった。
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