研究概要 |
1.RT-PCRにより、Mki67ip,Gli2,Inhbb,Tmem185b,Ptpn4,Epb41l5,Ralb,Tfcp2l1,Clasp1等のDh候補遺伝子の発現を+/+,Dh/+,Dh/Dh間で比較したが、発現パターンに差は認められなかった。最も有力な候補であるGli2遺伝子について、全エキソンの塩基配列を+/+およびDh/Dhの両者において決定したが、塩基配列は同一であり、候補遺伝子からは除外された。2.♀(♀DDD×♂CAST/EiJ)×♂DH-Dh/+および♀(♀DDD×♂SPRET/EiJ)×♂DH-Dh/+の交配により、X染色体Grdhq1座の詳細マッピングを試みた。前者においては,♂Dh/+はほぼ全ての産仔が生存したため、生存個体のX染色体Grdhq1座近傍のマイクロサテライトマーカーをタイプしたが、DDD alleleを持つ個体とCAST alleleを持つ個体がほぼ1:1であった。従って、致死性を救出する第4の遺伝子座の存在が想定された。生存♂Dh/+産仔のうち、Grdhq1^<DDD> alleleを持つものを利用し、ゲノムワイドサーチを実施した。結果的に致死性救出を示す有意な連鎖は認められなかった。3.ARM発症を相関するY染色体遺伝子SNPを解析しており、現在も継続中である。Y染色体コンソミックマウス系統において、精巣重量等の系統間差が存在した。Y染色体には従来から精巣重量決定の主要な遺伝子が存在すると考えられているが、これら一連のYコンソミック系統によりこれを検証した。Yコンソミック中、DDD系統はマウス近交系中最大の精巣重量を、またCBA系統は最軽量の精巣を持つ(DDDの精巣重量はCBAの約3倍)。精巣重量に及ぼすY染色体の貢献は考えられたほど大きくなく、主要因は常染色体性であり、実際に常染色体に複数遺伝子座を同定した。
|