研究課題
好塩基球および好酸球はアレルギー炎症の増悪化に関与すると考えられているが、その機能にはまだ不明な点が多い。好塩基球あるいは好酸球特異的にジフテリア毒素受容体(DTR)を発現するトランスジェニックマウスを作製し、任意の時期に生体内から除去できるマウスをそれぞれ樹立した(Baso-TRECKおよびEosino-TRECKマウス)。これらのマウスでは、それぞれ好塩基球あるいは好酸球特異的にDTRを発現していた。Baso-TRECKマウスに25μg/kgのDTを腹腔内投与すると、3日目には末梢血の好塩基球が1/10に減少した。TNP特異的IgEで受動感作したマウス耳介にTNP標識OVAを皮内投与して惹起される慢性皮膚腫脹反応(IgE-CAI)は好塩基球が責任細胞であることが明らかになっているが、Baso-TRECKマウスにDTを投与後2日目に抗原曝露すると、皮膚腫脹はDT投与量依存的に抑制され、25μg/kgのDTの投与で完全に抑制された。一方、Eosino-TRECKマウスに5μg/kgのDTを投与すると、2日目には末梢好酸球が1/5に減少した。抗原投与2日前にDTを投与すると、IgE-CAIによる皮膚腫脹は1/3程度に減弱した。IgE-CAIによる皮膚腫脹反応が開始された抗原投与後2日目にDTを投与すると皮膚腫脹が顕著に軽減された。これらのことは、好酸球がIgE-CAIにおいて慢性炎症の初期および増悪化に深く関わっていることを示している。本研究で樹立したBaso-TRECKおよびEosino-TRECKマウスにおいて、DTの投与により任意の時期に標的細胞をマウス生体内から除去することが可能であった。これらのマウスは好塩基球・好酸球の機能を解明する上で非常に有用であり、好塩基球・好酸球をターゲットとしたアレルギーの治療法の開発にも応用できると考えられる。
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http://www.rinshoken.or.jp/LAS/index-jp.htm