研究課題
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の動物モデルである筋ジストロフィー犬(筋ジス犬)では、生後2週齢頃からDMDと同様の心電図の異常Q波が出現したが、心臓超音波検査や病理学的検討による左室後壁の線維化は12ヶ月齢以降に出現していた。そこで、刺激伝導系について詳細に検討した結果、作業心筋に明らかな病変が見られない4ヶ月齢のプルキンエ線維に著しい空胞様変性が見られ,透過型電子顕微鏡ではプルキンエ線維内の筋原線維の著明な断裂が確認された。さらに,プルキンエ線維では、ジストロフィンC端型アイソフォームDp71とジストロフィンのホモログであるユートロフィンが過剰発現し、月齢に伴いDp71の発現増強とユートロフィンの発現低下が起こっていた。また、Ca依存性プロテアーゼであるμカルパインが過剰発現し、基質である心筋型トロポニン-Iや-T,デスミンが分解されていた。さらに、免疫組織化学では、筋ジヌ犬のPurkinje線維では正常対照犬に比べてユビキチンおよびMuRF-1の強い染色性を認め、cTnIと共局在し、免疫沈降法によりユビキチン化を受けた断片化cTnIが検出された。筋ジス犬のプルキンエ線維の変性機構としてにユートロフィンの代償不全や筋タンパク質の分解とユビキチン化が関与している可能性をはじめて見出した。
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