研究概要 |
本研究の目的は,人間の皮膚表面から得られる筋肉の活動を表す表面筋電位信号から,ユーザの意図する動作を実時間で推定しつつ,自然な感覚で多自由度電動義手またはロボット等を操作可能なインタフェースを構築することである. これまでに,健常者を対象に収集した筋電位信号のデータに基づき設計した複数手動作の動作識別器と関節角度推定器およびそれらの学習器等を設計した.さらに,実際の前腕切断者の筋電位信号のデータ収集を実施し,身障者に適した筋電位信号特徴量を新規に検討してきた.平成21年度では,これらの収集データを使用して,本研究の提案であるサポートベクターマシンに基づく動作識別器に加え,ニューラルネットワークやk-最近傍法等の識別器との詳細な性能比較や,誤認識の分析等を行い,本提案手法の有効性をさらに詳しく検証し,その有効性を確かめた. また,新たに音声発話補助装置への応用を目的に,頸部筋電位信号による音声認識手法の開発を行った.これは,従来の顔表面からの筋電位信号計測に替えて,より目立たない頸部からの計測によりどの程度の音声認識率が得られるかを実験したもので,識別器としてはサポートベクターマシンの他,隠れマルコフモデルについてもテストした.この結果,隠れマルコフモデルを使用した場合がもっとも認識率が高くなることを明らかにした.顔表面からの筋電位信号に比べ,認識率は若干の低下に抑えることができ,実用可能性を確認した.
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