研究課題
目標(2)目標(1)で確立した体重約20-23kgの大型犬を使用し、実際の臨床の閉塞例に対するバイパス手術と同じ条件になるように、口径約3-4mmの大型犬の頸動脈に、約1cm長の縦切開を加え、口径6mm、長さ6cmの人工血管を6-0monofilament糸連続縫合にて中枢・末梢の順で端側吻合する、人工血管移植モデルを用い、新たに開発したbFGFアガロース微粒子徐放剤を投与し、人工血管治癒促進・吻合部狭窄の効果を評価した。続いて、目標(3)のbFGFアガロース微粒子徐放剤と細胞外マトリックス(ECM)を組み合わせ、再度人工血管治癒促進・吻合部狭窄の効果を評価した。実験動物数・実験時間の制約から、実験プロトコールは、大型犬各1頭のみ、約5週間の移植実験を行った。in vitro実験結果を基に使用したECMの組み合わせは、「1型コラーゲン+Fibronectin GRGD peptide+Vitronectin」と「Fibronectin+Vitronectin」である。人工血管治癒の評価は、切片をHematoxylin and eosin染色、Elastica van Gieson染色、そしてvWF抗体・alpha-Actin抗体・bFGF抗体による組織染色にて行った。結果・まとめ:人工血管に塗布した徐放型bFGFは人工血管治癒にプラス、マイナスに働くという異なった従来の結果に対し、今回の結果は、吻合部の内膜肥厚を起こし、人工血管治癒には貢献していないか、マイナスに働いていた。一方、人工血管周囲に塗布した細胞外マトリックスの組み合わせ「1型コラーゲン+Fibronectin GRGD peptide+Vitronectin」「Fibronectin+Vitronectin」は、コントロールと比較し、明らかに治癒が進んでいた。特に、「Fibronectin+Vitronectin」のECMの組み合わせは、良好な人工血管治癒を認めた。
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Pharm Dev Technol 13
ページ: 541-547
臨床透析 24
ページ: 67-72