研究概要 |
PETやSPECTなどの核医学画像は一般に安静呼吸下で撮影が行われる。データ収集中の被検者の呼吸による臓器の動きは再構成画像にぼけを生じさせ診断精度を低下させる可能性がある。われわれは呼吸同期データ収集を前提としたPETやSPECTの高画質化技術を研究している。19年度はまず,呼吸同期データ収集を高精度に行うための呼吸位相モニタリングシステムを試作した。このシステムでは複数の再帰性反射マーカーを胸腹部表面に設置し,赤外照明光とカメラのセットを2つ用いてマーカーの3次元位置変動を安定的に追跡する。19年度の開発でマーカー位置の3次元リアルタイムトラッキングが可能となった。今後は多点のマーカーの時間変動から呼吸位相をロバストに推定する方法を考案ずる。 また,われわれはこれまでに,PET/CTを想定した呼吸同期データに対するPET吸収補正法を考案している。しかし,この方法は複雑な手順を要しており,実用化を考えた場合に改良の必要があった。19年度は,従来のものより簡便に補正を実現できる方法を考案し,数値ファントムを用いてその効果を確認した。また,われわれはすでにCT画像から肺葉分割を行う方法を開発済みであるが,CTとSPECT画像との融合像を得るために,CTの肺葉情報を利用するアルゴリズムを新規に考案した。特徴の少ないSPECT画像とCT画像の位置合わせに際して,葉間裂上ではSPECT画像の濃度値が低いとの先見情報を利用することにより,位置合わせの精度を向上させるものである。簡単な数値モデルを用いてその効果を確認している。
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