研究概要 |
PETやSPECTなどの核医学画像は一般に安静呼吸下で撮影が行われる.データ収集中の被検者の呼吸による勝者の動きは再構成画像にぼけを生じさせ診断精度を低下させる可能性がある.これに対し,われわれは呼吸同期データ収集を前提としたPETやSPECTの高画質化技術を研究している.20年度はまず,19年度に試作した,呼吸同期データ収集を高精度に行うための光学的呼吸位相モニタリングシステムを可搬型に改良した.まず,このシステムの計測精度が十分高いものであることを,周期的な動きをするファントムを用いて確認した.その後,呼吸位相モニタリングシステムとしての能力や利用可能性を調べるために,健常者の性差の調査を行ない,さらに千葉大学医学部附属病院に設置し,慢性間質性肺疾患(COPD)患者データと健常者との比較を行った. 一方,SPECTの画像技術として,息止め下で収集したSPECT画像を形態的情報であるCT画像と融合する方法について研究開発を行った.具体的には,CTとSPECTの画像位置合わせに用いる尺度として,相互情報量の他に解剖学的情報とSPECT画素値との間に存在する拘束条件を数式として表現し,位置合わせにおいて良好な結果を得た. また息止めPETデータにおいて,吸気息止め撮影で得られた同一被験者の複数のPET画像間に,従来から提案してきた融合方法を適用したところ,より鮮明な画像化が可能になった.これは吸気息止め自体が被験者の感覚に依存しているものであるため再現性に低く,その不一致を,提案する画像合成法で補償したものであり,効果を示すことができた.
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