研究概要 |
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や睡眠時無呼吸症候群など慢性呼吸不全の治療法の一つに,人工呼吸療法が処方されている.しかしながら,マスク式陽圧人工呼吸器(NIPPV)用鼻マスクを用いた人工呼吸療法では、マスクが顔を長時間圧迫することにより、皮下組織の圧迫壊死や、褥瘡を発生する例がしばしば報告されている。 そこで,本研究では個々人の顔形状に適した鼻マスクのオーダー・メイド・システムを構築するために,レーザー光による被験者の顔形状計測,超音波による軟部組織の厚さ計測,血流速計測などの基礎データを収集した.さらに,得られた形状データに基づき鼻マスク装着時を考慮した有限要素パーソナルモデルを構築し,FEM応力解析を利用して気密性を確保した上で血流を損なわないマスク形状の提案を行うと共に,感圧導電ゴムを用いた4次元触覚センシングシステム等を構築・適用し,鼻マスク装着時において作用する接触圧力分布,トラクション荷重分布ならびに血流速の実測結果とFEM応力解析結果を比較検討し,システムの実用性の評価を行なった. 特に,最終年度である本年は, 1.密性を確保し,かつ皮膚障害を発生しにくい鼻マスク・クッション材形状の決定プロセスにおける,最適な決定ルールの確立 2.光造形システムによる前述のルールに基づき,個人の顔形状に適したカスタムメイド鼻マスクの試作 を行い,同鼻マスクの装着時における接触圧力ならびに血流測等を評価し,本研究の総括を行った.
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