研究概要 |
PET核種をもつ薬剤とPET装置を用いた様々な画像診断が開発されつつある,PET装置では,放射性薬剤から放出される信号を検出し,その薬剤の代謝量を画像化することが可能であり,CTやMR装置では得る事が困難な機能情報を獲得できる.脳機能解析においては,正常脳データベースを構築し,脳活動野の把握や認知症の診断につながる血流低下,糖代謝低下の研究が行われてきた.本研究は,このような特性をもつ画像診断の考え方を体幹部へ適用し,代謝アトラス構築の基礎を確立することを目的とする.そのため,半減期が比較的長く,国内において広く用いられているFDG-PET薬剤を対象に主に実験を行った.男性143症例,女性100例の正常例を蓄積し,それぞれ一つの体格に変形/位置合わせを行った.その結果,代謝量の区間推定のための平均分布と標準偏差の計算が可能であった.また,その代謝アトラスの利用法として,患者画像を偏差画像へ自動変換を行った.ここでは,同じ体型へ変形/位置合わせを行い,患者画像の偏差を自動的に得る.63症例の異常症例を用いて実験を行った結果,代謝アトラスの有用性が示された以上のことより,機能画像から代謝アトラスを構築する事ができたといえる.また,今回はPET画像のみでアトラスの構築を行ったが,今後PET/CT装置を利用すれば,形態情報は正確に抽出する事が可能であり,画像位置合わせと変形手法についての継続した研究が必要である.
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