研究概要 |
本研究では,スポーツや臨床医学で広く用いられている筋電図に代わり,筋自身の収縮特性を反映する筋音図(MMG)を測定するために,(1)身体の不随意な動きに影響されない光反射型変位MMGセンサを開発する,(2)運動中でも測定できるよう,電気刺激を加えて単収縮変位MMGを計測するシステムを構築することを目的とする。本年度実施した研究内容をまとめると, (1)光反射型変位MMGセンサの開発およびセンサの基礎特性の検討 市販のフォトリフレクタ(発光ダイオード(LED,波長810nm)とフォトトランジスタ(PTr))を用いて,皮膚表面の変位変化を測定する変位MMGセンサを製作した。センサにはLEDの駆動回路やPTrの信号増幅回路も組み込んだので,電源を加えるだけで動作可能である。センサと皮膚との距離は約7mmになるようにアクリル脚で固定し,測定範囲は±2mm,センサの両脚間は30mmとした。センサは4.8gと小型軽量で,皮膚表面上に貼り付けて使用しても,運動や1G程度の衝撃によるノイズの影響はないことを確認にした。 (2)安静時の筋収縮実験で得られた変位MMG波形の検討 新規購入した筋音計((株)メディセンス,MPS110)を用いて加速度MMGを測定し,その波形を2階積分して変位MMGを求めて,試作センサでの測定結果と比較した。またレーザ変位計によって,直接変位MMGを測定したところ,試作センサで計測される信号の大きさは約1/16程度であったが,MMG波形はほとんど同じであったので,十分な精度で測定ができていることがわかった。さらに,随意収縮の大きさを変えて変位MMGを測定し,また電気刺激によって単収縮MMG波形を測定した結果,これまでに報告されている結果とほとんど同じであることを確認した。
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