本年度は、第一年度に作成した共振器を用いて、実験動物での検討を本格的に開始し、本手法の有用性を実証することを目的とした。 1)ファントム用いた適用性の検証 前年度に行った設計検討に基づき、ラット及びマウスの生体計測を想定して種々サイズの共振器を、まずファントムレベルでの撮像に供した。生体を模した形状、緩和時間を有する種々のファントムを作成し、共振器の有用性を理論計算値と実測値の比較解析により行った。その結果、計算値と実測値にはよい一致が見られた。 2)実験動物への応用 以前、侵襲的操作を伴う表面型共振器を用いた検討から、胃潰瘍・大腸炎モデルマウス・ラットにおいて、酸化ストレスが惹起され、その産生部位は管腔側よりも粘液層であることが明らかにしていた。 第一年度に作成した本共振器の有用性を検証する観点から、同疾患モデルを用いて、2種のレドックス感受性造影剤を投与し、無侵襲的画像化を行う本法においても以前と同様の画像が得られるかどうか検討を加えた。その結果、本病態において、管腔側よりも粘液層でレドックス動態が変動しており、以前の結果と一致した。 そこで次に同測定手法を用いて、既存の共振器を用いて得たレドックス画像と、本研究で開発した共振器で得た画像とを比較し、高感度化・局所情報の抽出性について検証を行った。その結果、局所感受性が高いことが示された。以上の結果から、病態モデル(胃潰瘍・大腸炎など)局所において、本手法は侵襲操作を要する従来法と同様のレドックス動態画像が得られたことから、本手法の有用性が示された。
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