研究概要 |
今年度は,磁気浮上式拍動型補助人工心臓の試作,及びcompliance chamberless化のための移動空気量とポンプ特性の関係について研究を行った 磁気浮上式拍動型補助人工心臓の試作では, Innerリングカムにネオジウム鉄磁石を20対, outerリングカムに同磁石34対を配置した同心2重構造の螺旋レール状磁気反発カム(磁気浮上力7.6kg)により動脈圧120mmHgに抗しモータの回転運動をプッシャープレートの直線往復運動(ストローク8mm)に変換する磁気浮上カム式人工心臓を開発した(体積421ml). in vitro実験の結果,磁気浮上力は設計通りに得られたが,ポンプ拡張期に磁気反発力に抗してプッシャープレートが拡張末期位置まで戻るのに十分な力を得ることができず,改良型磁気浮上式人工心臓の考案が必要となった。 Compliance chamberless化に関する研究は,昨年度に考案したネオジウム鉄磁石を利用した能動的血液吸引によるポンプ駆動時,異なる容量のcompliance chamberを作成・接続し,体外模擬循環回路を用いたin vitro実験でアクチュエータ側空気移動量のポンプ特性に与える影響を調べた.その結果,動脈圧100mmHg,拍動数92bpmポンプ1回拍出量66mlにおいて,66mlのcompliance chamber装着時でポンプ拍出量5.9L/分に対し,空気移動量をその約50%の37mlとした場合ポンプ拍出量は5.3L/分となり,空気移動量10mlでポンプ拍出量は3.2L/分となった,従って,ポンプ性能を大きく損なわずcompliance chamberを削減するには,ポンプ1回拍出量の50%のアクチュエータ側空気を移動させればよいことが分かった.
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